毎年秋になると、Appleの新型iPhoneが発表されます。
ProやらProMaxやら、カメラが何眼、リフレッシュレートが何Hzやら。
正直に言うと、私もかつてはその波に乗っていました。新しいモデルが出るたびにスペック表を穴が開くほど見比べて、「今年こそは最上位モデルを」と自分に言い聞かせていた時期があります。
でも、ある時ふと気づいたんです。
結局、毎日使っているのはLINEとブラウザとSNSだけだと。
15万円のProを手にしても、その3眼カメラで撮るのは夕飯の写真くらい。120Hzの滑らかなスクロールで読んでいるのは、Xのタイムライン。
「iPhone 16e いらない」で検索してここにたどり着いた方は、おそらく似たような感覚をお持ちなんじゃないでしょうか。
高すぎるスマホに疑問を感じている。でも、安いモデルに妥協するのも不安。その狭間で揺れている。
この記事は、そんな方に向けて書きました。スペック比較サイトのような網羅的な情報ではなく、実際にiPhone 16eを使っている筆者の、偏った本音の話です。
「じゃあ実際どうなの?」その検証として読んでいただければ幸いです。
スペック競争という「ノイズ」に気づくまで
私は長い間、スマホ選びに真剣でした。真剣すぎた、と言った方が正確かもしれません。
新製品が出るたびにYouTubeのレビューを何本も見て、価格.comの口コミを読み漁っていた時期もあります。今振り返ると、あの時間は何だったのだろう。
スマホ選びに費やしていた時間そのものが、一番のノイズでした。

スペックを比較すればするほど迷いが深くなり、購入後も「本当にこれでよかったのか」と考え続けてしまいます。新しいモデルの噂が流れるたびにまた心が揺れる。その繰り返しです。
これを「スペック疲れ」と呼ぶ人もいますが、私にとっては、もう少し根深い問題でした。
要するに、他人の正解を自分の正解にしようとしていたんだと思います。

iPhone 16eを「あえて」選んだ理由
iPhone 16eは、はっきり言って「強み」がないスマホです。
カメラは1眼。リフレッシュレートは60Hz。MagSafeにも非対応。iPhone 17のスペックと並べたら、見劣りするのは否定しません。

でも、それが良かったんです。
ahamoで月51円(24回返却プログラム)という話を耳にして、「とりあえず試してみるか」くらいの温度感で手に取りました。正直、そこまで期待していませんでした。
ところが、実物を手にした瞬間、ちょっとした驚きがあったんです。
背面がフラットで、カメラが1眼。それだけのことが新鮮でした
最近のiPhoneは、背面のカメラユニットがどんどん大きくなっています。Proシリーズに至っては、ほとんどカメラにスマホがくっついているような状態です。テーブルに置くとガタつきますし、存在感がありすぎます。
iPhone 16eの背面は、ほぼフラットです。カメラは小さな1眼がぽつんと一つ。これを見て「物足りない」と感じる方もいるでしょう。
でも私は、久しぶりに「普通のスマホ」を持っている感覚になりました。シンプルすぎるデザインが、逆に新鮮だったんです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、このフラットな背面を見て、少し肩の力が抜けました。「別に、最新の3眼カメラを持っていなくても、困ることなんてないんだな」と。

【実際の使い心地】十分という安心感
処理性能:A18チップの恩恵は確かにあります

iPhone 16eにはA18チップが搭載されています。これはiPhone 16と同じプロセッサで、Apple Intelligenceにも対応しています。
日常の操作、アプリの起動、ブラウジング、どれをとっても引っかかりを感じることはほとんどありません。
正直、処理性能に関しては「不満がない」という以上の感想が出てきません。それは裏を返せば、普通に使う分にはProとの差を体感できないということです。
そう、大半の人にとって、スマホの処理性能はもう「十分」なんだと思います。
カメラ:超広角も望遠もないけれど、困りません
1眼カメラと聞くと不安になるかもしれませんが、メインカメラの品質は安定しています。日中の写真はきれいに撮れますし、ポートレートモードも使えます。
超広角や望遠レンズがないことで困るシーンは、正直ほとんどありませんでした。風景を広く撮りたい時や、遠くの被写体を撮りたい時。

そもそも、そんなシーンが日常にどれだけあるでしょうか。私の場合、カメラに求めているのは「記録」であって「作品」ではありません。
その用途なら、iPhone 16eのカメラは必要十分でした。

バッテリー:意外な健闘ぶりです

バッテリー持ちは、想定以上に良いです。体感としては、iPhone 16 Proとほぼ同じレベル。朝充電して出かければ、夜まで充電を気にすることはありません。
60Hzのリフレッシュレートが、むしろバッテリー持ちには貢献しているのかもしれません。
120Hzの滑らかさを手放した代わりに、充電の心配というノイズが一つ減りました。悪くないトレードオフだと感じています。

MagSafe非対応。唯一の「引っかかり」と、その対処法
iPhone 16eの最大のネックは、MagSafe非対応でしょう。
私はMagSafe充電器を使っていたので、これは正直、少し困りました。磁力でピタッとくっつけるあの手軽さは、一度使うと手放しにくいものです。
ただ、MagSafe対応ケースを使えば、マグネットでのアクセサリー装着は可能になります。実際にそうしています。
ここで注意しておきたいのが、ワイヤレス充電の規格です。iPhone 16eはQi2にもMagSafeにも対応していないため、最新のMagSafe充電器を使っても高速充電はできません。
充電速度はあくまでも従来のQi規格(7.5W)止まりです。これを許容できるかどうかは、人によるところだと思います。
私の場合は、割り切ってUSB-Cケーブルでの有線充電に戻しました。「ケーブル1本だけ」というシンプルさは、かえって気持ちがいいです。
デスク上のケーブルが減ったわけではありませんが、「充電方法をどうするか」で悩まなくなった分、頭の中のノイズは確実に減りました。

iPhone 17eの噂もありますが

この記事を書いている2026年2月時点で、すでにiPhone 17eの噂がちらほら出ています。ProMotion対応(120Hz)になるかもしれないとか、カメラが強化されるかもしれないとか。
以前の私なら、「じゃあ17eまで待とうかな」と考えていたでしょう。でも今は、そういう思考回路自体を疑っています。
「次のモデルはもっと良くなるかもしれない」、これは永遠に終わらないループです。毎年そう思い続けて、結局ずっと待ちの状態になります。その間にも時間は過ぎていきます。
iPhone 16eは、楽天モバイルやソフトバンクなら月1円で手に入ります。仮に24回目に返却したとしても、その2年間で「スマホ選びに悩む時間」がゼロになったなら、それだけで元は取れたと思っています。
スマホへの執着がなくなるという体験

iPhone 16eを使い始めて、一番変わったのはスマホとの距離感です。
以前は、最新のハイスペックモデルが発表されるたびに物欲が刺激されていました。「あのカメラ性能は魅力的だ」「あのディスプレイは綺麗そうだ」と、情報を集めずにはいられませんでした。
でも今は、その感覚がほとんどありません。
iPhone 16eという「特に飛び抜けた強みがない」スマホをあえて持つことで、「これで十分です」と思えるようになりました。
スマホの情報を追う時間が減り、その分、別のことに時間を使えるようになっています。
これは意外な変化でした。スペックを「削る」ことで、自分の中のノイズまで削れた感覚があります。

ガジェットは、足し算だけじゃありません。引き算でしか見えない景色があります。
【結論】こんな人にオススメ/こんな人には不要

最後に、正直なターゲット分けをしておきます。
iPhone 16eがオススメな人
- スマホのスペック競争に疲れていて、「もう十分なもの」で落ち着きたい人
- スマホにかけるお金を、デスク周りや生活の質を上げる道具に回したい人
- カメラは「記録用」として割り切れる人
- 月1円プログラムで、安く済ませたい人
iPhone 16eをオススメしない人
- カメラにこだわりがある人(超広角・望遠を頻繁に使う場合)
- 120Hzのスクロールに慣れきっている人(60Hzに戻ると、最初は違和感があります)
- MagSafeエコシステムにどっぷり浸かっている人(充電器・ウォレット・スタンドなどを揃えている場合)
- 「最新・最高スペック」を持つこと自体に価値を感じる人
浮いたお金で、触れるものを変えてみませんか
iPhone 16 ProではなくiPhone 16eを選ぶと、単純計算で5〜6万円ほどの差額が生まれます。
この浮いたお金を、毎日もっと長く触れるものに回してみるのはどうでしょうか。例えば、打鍵感の良いメカニカルキーボードや、身体を支えるチェア。スマホの画面を1時間スクロールする間の恩恵よりも、キーボードを8時間打ち続ける指先の感触の方が、生活への影響はずっと大きいです。
スペック競争から一歩引いて、自分の手が毎日触れるものにお金をかける。その方が、よほど暮らしの中の小さなノイズが消えていきます。
スマホの選び方に疲れて、そろそろ「十分なもの」で落ち着きたいと感じている方は、一度iPhone 16eに触れてみてください。
「足るを知る」のではなく、「もう足りていた」と気づくだけ
iPhone 16eは、特別なスマホではありません。飛び抜けた性能もなければ、革新的な新機能もありません。
でも、それでいいんです。
スペックを追いかけ続けた先に待っていたのは、「結局、何を選んでもそんなに変わらない」という、少し寂しくて、でも安心する結論でした。
iPhone 16eを使い始めて、スマホに対する「もっと良いものがあるんじゃないか」という漠然とした不安が消えました。消えたというより、「最初からなくてよかったものだ」と気づいたんです。
頑張らないための選択。引き算のスマホ。それが、今の自分にはちょうどいいです。
スマホ選びという「正解探し」は、もうやめてもいいのかもしれません。


